
26卒の選考が進む中、「内定者フォロー」はますます重要なテーマとなっています。内定辞退を防ぎ、入社意欲を高めるには、一人ひとりに寄り添った丁寧な対応が欠かせません。実際に、承諾率が高い企業はこのフェーズを戦略的に捉え、計画的に取り組んでいる傾向があります。では、そうした企業は何が違うのか?本記事では、学生の声や調査結果をもとに、フォローの見直しにつながるヒントをお届けします。正解のない領域だからこそ、今こそ取り組みを振り返る機会としてご活用ください。
弊社の調査では、25卒採用において、約3分の1の企業が前年より内定辞退者が増えたと回答しています。これは中堅・中小企業に限った話ではなく、むしろ大企業の方が影響が大きくなっています。また全体として「昨年と変わらない」という回答も多く、昨年も苦戦をしていた状況を考えると、例年の課題となってしまっています。
実際の承諾率を見てみると、内定承諾率(歩留まり)の多くが50%前後となっています。例年、厳しい環境にあるので、企業もそれを見越して計画を立てていると思いますが、それでも計画よりも下回る企業様が3割にも上っています。このような背景から、26卒以降もこのテーマに注力をされる動きが目立っています。
キャリタス『2025年卒・新卒採用に関する企業調査-内定動向調査』(2024年10月)
キャリタス「新卒採用に関する企業調査-採用方針調査」(2024年10月)
2. 内定取得学生の不安と求めるフォローとは?
内定を取得している学生といえど、多くの不安を抱えています。特に「仕事内容」「人間関係」「会社理解」「社会人生活」の4点が大きなポイントとなっており、入社先を決める際にも重要となります。こうした懸念・不安に対して企業ができることは、“自社の魅力を伝える”だけでなく、“学生の不安に応える”ことも大切です。フォローについて、学生の声を聞いてみると、社員や内定者との交流、人事との面談など「人とのコミュニケーション」が求められています。実際の仕事内容については、社員の話を通じて、「リアルな情報」を得たいという声が多くあります。職場の雰囲気や働き方、給与・キャリアパスなども、リアルな情報に含まれます。フォローの「施策・手法」に悩まれる方も多いと思いますが、「どんな情報を与えていくべきなのか」という点を意識してみることをお勧めします。
『キャリタス就活 学生モニター2025 卒業前調査結果』(2025年2月)
『キャリタス就活 学生モニター2026 調査結果』(2025年5月)
3. 内定承諾率が高い企業が実践している3つの要素とは?
内定者フォローを実施していても、なかなか効果が出ない、辞退が減らない。そんな課題を感じている企業も多いのではないでしょうか。そこで今回は、承諾率が高い企業に共通して見られる3つの特徴をご紹介します。
1つ目は「入念な準備」です。イベントや面談の準備だけでなく、情報提供の設計、連絡手段の整備、社内の協力体制の構築まで含め、内定承諾を得るための準備を徹底しています。特に学生が「十分な情報を得られた」と感じるかどうかは、意思決定に大きな影響を与えます。
2つ目は「早期からのアプローチ」。『面接段階』から学生の不安を引き出し、それを解消するコミュニケーションを図っているのが特徴です。内定後にフォローを始めても、既に気持ちが他社に傾いているケースも多く、早い段階での“口説き”やクロージングを意識した関わりを持つことが重要です。面接を単なる選考の場とせず、関係構築の起点とする企業ほど、結果に結びついています。
3つ目は「継続的なフォロー」です。学生の気持ちは日々“上書き”されていくため、単発のフォローでは志望度を維持できません。実際に学生が望むフォローの頻度は、1〜2ヶ月に1回程度。しかし実態は3ヶ月以上空くことも少なくなく、フォロー不足が辞退につながる要因となっています。継続的な情報提供や交流機会を通じて、“心の距離”を保ち続けることが、内定承諾率向上には欠かせないのです。これら3つのポイントを意識することが、選ばれる企業への一歩となります。
さいごに
ここまでの記事を読んで、「自社でも取り組めそうなことがありそうだ」「まずは見直してみよう」と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。内定者フォローは一律の正解がない分、悩みやすいテーマですが、承諾率の高い企業の取り組みには共通する工夫があります。入念な準備、選考段階からの働きかけ、そして継続的なフォロー。どれも学生の不安や期待に寄り添う姿勢から生まれています。
ツールや手段はあくまで手段であり、重要なのは「この会社で働くイメージが持てた」と学生に思ってもらえるかどうかです。すべてを完璧にする必要はありません。ぜひ、自社にできる小さなアクションから、前向きに取り組んでみてください。
最後までお読み頂きありがとうございました。

【関連資料】承諾率が高い企業が行っている『内定者フォロー』の3つの要素
内定者フォローのポイントについて、学生の具体的なコメント等も含め、もう少し詳しく知りたいという方は、ぜひこちらもチェックしてみてください。